2012年9月12日水曜日

HPLC分析のコツ(16) UV/VIS検出器のお話-その4

今回も懲りずにUV/VIS検出器です。
本題にはいる前に、検出器の仕様(スペック) の項目を少し説明します。


  • 波長再現性(波長を設定時の誤差)
  • 波長正確さ(設定波長とのズレ)
  • スペクトルバンド幅(スリットを通過した単色光の広がり)

さて、HPLCのシステムを何台も使っているところでは、同じ波長で検出しているはずなのに、 検出器によってピーク高さが違うなんて事を経験されたところもあるんではないでしょうか。

 その理由を説明します。ここで問題になるのが、波長正確さです。 日本分光のUV-4070では±1nmです。例えば、250nmに波長を設定しても、実際には装置によっては 249nmから251nmのどこかの波長が選ばれているということです。最大2nmの違いが生じる可能性があります。装置によってピーク高さの異なる原因がこの2nmの違いなのです。特に、 シャープな吸収スペクトルを持つた化合物で顕著に現われます。絵で説明します。
 
波長が吸収極大付近にないときは、図のように2nmの違いが、吸光度に大きく反映します。 ところが吸収極大付近では、ほとんど吸光度は変わりません。絵で描くととてもよく分かりますね。


図 測定波長と吸光度

じゃあ、波長正確さをもっと上げればいいのではと考えるのは素人の浅はかさ。私もこう思って専門家に聞いたところ、「原理的にはその通りです。でも、波長正確さだけではなくて、そこにはスペクトルバンド幅との関係があってそれほど簡単ではないのです。 」と諭されました。その理由はよく分からないのですが、とっても難しそうです。

はじめに書いたような事を経験された人、理由を分かって頂けましたか。次号からは、蛍光検出器を取り上げます。