2012年10月15日月曜日

HPLC分析のコツ(18) 蛍光検出器のお話 その2

今回でHPLC分析のコツ、最終回です。

今回は蛍光検出器の波長設定についてのお話です。UV検出器と違って、蛍光検出器では励起光と蛍光、2つの波長を設定しなくてはなりません。
一般に、励起波長<蛍光波長<(励起波長)x2となります。

励起波長も蛍光波長も化合物特有の値を持っています。ただし、pH、溶媒組成などにより変化することがあります。分析を始める前に、おおよその値は分かっているはずです。搭載されている検出器のスペクトル測定機能を使ってより正確な波長を求めることもできます。

UVの場合は、選択性と感度の兼合いから波長を設定することもあると書きましたが、蛍光検出器の場合は、選択性が高いので感度に絞って波長を決めます。
ここで少し寄り道をして、蛍光検出器の“感度”について話しましょう。以前、UVやRI検出器には縦軸の目盛りはあるが蛍光検出器には基準がないという説明をしました。だから、蛍光検出器では単純に、ピーク高さだけで感度を比べることができません。つまり、
異なる機種間で検出器の感度設定を同じにして、ピーク高さを比較しても意味はありません。

それじゃあ、どうやって感度を比較するか。S/Nでみるしかありません。ただ、メ一カが異なっていると時定数の設定や、ホトマル電圧の設定などが違って、同一条件下での比較がやりにくいという点は認めます。でも、繰り返しますと「蛍光検出器の感度を比べるには、ピーク高さだけではあまり意味がなく、正しくはS/N比で比較しなければいけません。」
同じ装置の場合でも、やはりS/N比でみるべきです。

寄り道が長くなってしまいました。話を元に戻します。
「蛍光検出器では感度を中心に波長を設定すればよい。」ということでしたね。
単純に最適波長を設定すればよいのですが次のような場合には注意をしてください。

1)励起波長と蛍光波長が近い。
2)励起波長の倍の波長と蛍光波長が近い


このような場合には、一般にバックグランド(ノイズ)が高くなり思ったほど高感度にはなりません。原因は、励起光の迷光が光側に検出されるからです。迷光はいつでも光側に入つてきているのですが、波長が大きく異なれば、光側で分光され問題とはなりません。
1)は今の説明で分かっていただけたと思います。2)について説明します。検出器では目的の波長を取り出すため回折格子が使われています。回折格子から得られた光にはその波長の半分、2倍、3倍の波長成分も含まれています。当然、迷光にもこれらの波長成分が入ります。2)は倍光に由来するノイズの影響を受ける物です。

1)と2)では処理の方法が異なります。原理的にも1)のケースではあまりよい方法がありません。蛍光波長を少しづつ長波長側に動かしてデータを取り、S/N比を計算して最もよい波長を選びます。

2)の場合には、倍光をカットするようなフィルターを励起光側に入れてください。ある程度の効果があるはずです。用意されているフィルターの種類、波長特性などはそれぞれの装置の取扱説明書を参照してください。

これで、HPLC分析のコツシリーズは終了です。
ご愛読ありがとうございました。

次回からは、新連載「光のふしぎ。」をお送りします。