2013年11月13日水曜日

続・HPLC分析のコツ(4) 移動相に発生するカビ、バクテリア

移動相にリン酸塩や酢酸塩水溶液などを使用し、混合されている有機溶媒の量(10%以下は注意)が少ない移動相溶媒は、カビ、バクテリアの発生に注意する必要があります。特に温度や湿度の高い夏場では、2、3日でも微生物が移動相溶媒中に発生することがあります。溶媒ビンの中で数日経過した移動相溶媒中に浮遊しているものがあるときは、微生物の発生かもしれません。

このような微生物が発生した場合は、ポンプの送液不良、流路内汚染によるゴーストピークの発生、カラムの劣化、インジェクタの不具合、セルの汚染などによるベースラインノイズの増大や変動といったトラブルの原因になります。

図は、溶離液中に発生したカビが付着したインレットフィルタの写真です。

図 新品(上)とカビの付着した(下)
インレットフィルタ

微生物の発生を防ぐには、移動相溶媒を入れているビンの洗浄、乾燥を行い、移動相溶媒の継ぎ足しは行わずにできるだけ短時間で使い切るか、残った溶媒は廃棄するようにしましょう。

また、カビの発生しやすい移動相溶媒をHPLCシステム内に残したまま保存しないでください。有機溶媒と水の50/50(例 アセトニトリル/水、メタノール/水)などの溶媒で流路を置換しておくことが予防策になります。