2014年9月17日水曜日

分析のひと工夫(2) 製造ライン上のフィルムの膜厚測定

一般に静止したフィルムの膜厚は、その反射率スペクトルにみられる干渉波形から計算することができます。しかし、高速で移動する試料、例えば製造ライン上のフィルムの膜厚を測定する場合、測定中に測定箇所が移動してしまい、どこの膜厚を測定しているかが分からなくなってしまいます。また、測定する場所によって膜厚にバラつきがあると干渉波形が得られず、膜厚を計算することができません。

図、製造ライン上のフィルムの測定

そのような場合、一回の点灯時間が3 μsecという非常に短いXeフラッシュランプとマルチチャンネル検出器を搭載した分光光度計を用いることで、極めて短い移動距離の間に測定を行うことが可能です(上図)。データ処理の時間も加味すると0.5 秒ごとに測定することができます。このような工夫を凝らすことで、製造ライン上で移動するフィルムであっても、その膜厚をモニターすることができます。

■参考
下図、フィルム上で反射する光(A)とフィルム透過後に反射した光(B)が干渉します。それらの干渉波形より、膜厚を計算できます。

図2、膜厚測定の概要

2014年9月4日木曜日

分析のひと工夫(1)インクの分析

インク等に含まれる顔料は希釈を行うと、その溶媒や希釈率によって、吸収スペクトルの形が変化してしまうことがあります。そこで、インクを原液のまま分光光度計で測定する方法を検討しました。

インクの原液を通常の光路長10mmの角型セルで測定すると、測定できる吸光度の限界を超えてしまうため、吸収スペクトルを得ることができません。そこで、図に示すような光路長0.1mmの段差セルを用いて測定を行いました。

このように光路長を1/100まで短くすることで、インクのような濃い液体を希釈することなく原液のまま測定することができます。

また、このセルを使用することで試料の量は数μL程度と非常に少量で測定することができます。

図 インク原液の測定