2014年5月29日木曜日

時短、省溶媒分析のすゝめ(6)簡単、IR測定(KBrプレート法Ⅱ)

前回は粉末試料の測定でKBrプレートを利用した測定方法を紹介しました。今回は液体試料の測定でKBrプレートを利用した測定方法を紹介します。

通常、グリスなどの粘性の高い試料は、窓板に塗り、組立セルにホールドして測定します。また、粘性の低い垂れやすい試料の場合は、窓板に挟み、組立セルにホールドして測定します。しかし、これらの方法で測定を行うと、窓板で試料が固まると洗浄が大変であったり、窓板自体が比較的大きく、貴重な試料を多く使用してしまうということがあります。

図 KBrプレート(3×3×0.5mm)窓板として測定

そこでKBrプレート法の登場です。試料のセッティング自体は従来法と同じですが、KBrプレートがディスポーサブルなため、測定毎に窓板を洗浄する必要がありません(時短、省溶媒)。さらに、本方法では、また、試料のサイズはφ3(通常はφ10)で測定できるため、1μL程度の試料があれば測定が可能となります。

KBrプレート法と従来法の測定例を図に示します。従来の測定と同様のスペクトルが得られていることが分かります。本方法を用いれば、試料のセッティングの時間を短縮でき、省サンプル、省溶媒で測定できます。

図 クッキングオイルの測定

参考資料
ジャスコエンジニアリング 組立セル(MagHoldIR)
日本分光 FTIRの基礎(5) 簡単、便利!FTIR測定のコツ



2014年5月19日月曜日

時短、省溶媒分析のすゝめ(5)簡単、IR測定(KBrプレート法)

今回は以前ご紹介したClearDiskを用いたFTIRの測定を、もう少し具体的に手法をご紹介します。3mm角のKBrの板にサンプル粉末を挟むだけでFTIRが測定できる方法です。圧倒的に時間を短縮できます。しかも、簡単ですよね。具体的には以下のような操作になります。

①成形器にClearDisk(ジャスコエンジニアリング製ディスポーサブルDisk)をセットし、KBrプレートを一枚載せ、その上にサンプルを載せます。

②もう一枚のKBrプレートを載せ、その上から押さえプレート(成形器上部)を2、3回転させます。

③押さえプレートを外し、サンプル粉末が広がっていることを確認、上下のKBr板を揃え直してからミニプレスでハンドプレスします。

図 ClearDiskを用いたKBrプレート法

本方法により手軽かつ迅速に多検体をまとめてサンプリングすることができます。更に、KBrからの吸湿を抑制することや、測定サンプルを保存できるというメリットもあります。より具体的なお話は以下のリンクをご参照ください。

【参照】
KBrプレート法・KBr錠剤法の新しい形2014
今こそ聞きたい!KBr錠剤法・プレート法のコツ2017

2014年5月7日水曜日

時短、省溶媒分析のすゝめ(3) UHPLC

前回まで、UV、IRと来ましたので、今回はHPLCについて話したいと思います。技術の発展により、HPLCを更に進化させた超高速液体クロマトグラフ(UHPLC)が出現しました。

原理を簡単に説明すると、粒子経の小さい充填剤カラムを用い、3倍の線流速、1/3のショートカラムを用いた場合でも同等の分離が可能になり、約1/10の時間でクロマトグラムが取得できるといったものです。その際、以前よりも高圧に耐えるシステムと、鋭いピークを検出するための検出器が必要です。この分析に対応したクロマトグラフがUHPLCです。

時間の短縮は述べた通りですが、流量と分析時間が減ることから、溶媒使用量も1/10程度に減少します。(再生時間も含めると更に減少します。)


UHPLC発売当初とは異なり、現在ではUHPLC用のカラムもかなり増えてきました。「素早く測定したい」「溶媒の使用量を抑えたい」という方で、まだ使ったことがないという方は、ぜひUHPLCのご使用をおすすめします。

【参考】
ジャスコエンジニアリング(株)作成パネル