2012年9月26日水曜日

HPLC分析のコツ(17) 蛍光検出器のお話 その1

さて、今回から蛍光検出器のお話です。毎日、分析を始める前にまずここを見ます。調子の悪いときも真っ先にここを見ます。それは、光源ランプの明るさと、フローセルからでる光の強さです。


EX(excitation)とあるのは励起光の強さ、EM(emission)は蛍光の強さを表しています。励起光の強さとは、光源ランプの明るさのことです。蛍光の強さとはフローセルからでている光の強さのことです。UVとは異なり、EXは大きい程いいのですが.セルのEMは小さいほどいいです。UVではどちらも大きい方がよかったのですが。EXの値は光源ランプや励起光側の光学系の状態を反映し、励起する光が強ければ強いほど、サンプル測定時に強い蛍光が出ます。つまり、高感度で検出できることになります。この値は、ランプが劣化すると徐々に小さくなっていきます。波長が違うと値も変わります。



図 セルに照射した際の励起光(EX)と蛍光(EM)

EMの値はフローセルからの光です。この値はべースラインノイズの大きさと関連しています。EMの値が大きければノイズも大きくなります。従ってS/Nは悪くなり、検出感度も悪くなります。値の大きさは移動相やフローセルの汚れ等を反映し、Gainを変えたときや、波長を変えたときにも変化します。特に、EXとEMの波長が近いときや、EXの2倍の波長に近いときに大きくなります。

蛍光検出器では、ブランク測定時のEMの値を小さくしないと高感度分析はできません。また、EXが大きくないと高感度になりません。(この話は、次回に詳しくお話ししたいと思います。)

この機能の使い方ですが、基本的にはUVと同じです。毎日、同じ移動相、同じ波長で分析しているときには、EXでランプの劣化の状態が分かります。EMでは移動相やフローセルのよごれ具合、ノイズの大きさが分かります。運転ノートに記録しておけばランプ交換の時期を予想することができます。ただ、UVの場合と違ってEXの値はランプをつけた直後と、安定してからでは値が少し違います。小さな違いはあまり気にしないほうがいいと思います。

■参考