2020年1月8日水曜日

続・HPLC分析のコツ(6) サンプルビンへの吸着

標準試料を用いて検量線を作成する際、直線性が悪くなることがあります。この原因には、セルの汚れ、脱気不足、ニードルや配管への目的成分の吸着など、様々考えられますが、見落としがちなもとのの一つとして、実験器具への目的成分の吸着があります。

例として、アフラトキシンB1、B2、G1、G2をトリフルオロ酢酸(TFA)により水酸化対に誘導体化させて蛍光検出した場合を取り上げます。

■TFA誘導体化の手順
・0.5、1.0、5.0、10μg/Lの1.0mLアフラトキシン混合標準試料をそれぞれ作成
・アフラトキシン混合標準試料を45℃以下で窒素気流を用いて、濃縮、溶媒除去
・0.1mL TFAを加え、密栓して激しく攪拌後、室温・暗所で15分間放置
・0.9mL 超純水/アセトニトリル(90/10)を加え、攪拌後、HPLC装置へ注入

図 アセトニトリル処理前と処理後のクロマトグラム

用いたサンプルビンに対して、アセトニトリルで洗浄処理したものを用いたところ、ピークが洗浄未処理のものと比べて大きくなり、直線性が改善しました。このように、サンプルビンへの目的成分の吸着を防ぐことで、より正確に測定を行うことが可能になります。

2017年6月7日水曜日

Chirality2017 ISCD-29

日本分光は、キラリティーに関する国際学会 Chirality2017; ISCD-29 2017年7月9日(日)~7月12日(水) において、発表と装置の展示を行います。

皆様のご来場をお待ちしております。

Chirality2017; ISCD-29 公式サイト

会期 2017年7月9日(日)~7月12日(水)
会場 早稲田大学国際会議場
主催 Molecular Chirality Research Organization, Waseda University

発表内容や展示装置につきましては、下記のサイトをご参照ください。

Chirality2017; ISCD-29 出展案内

【関連情報】

ORD・CDの基礎  

  1. ORD(Optical Rotatory Dispersion)、CD(Circular Dichorism)測定の原理
  2. 旋光度測定
  3. ORD、CD測定の特徴
  4. ORD、CD測定の応用例
  5. 一滴測定とストップトフロー法
  6. 旋光計の光源と特徴
円二色性分散計について




2017年3月13日月曜日

分析装置のソフトウェアのWindows 10対応について

 日本分光の液体クロマトグラフ用ソフトウェアChromNAVとスペクトロスコピー用ソフトウェアSpectra Managerは、Windows 10対応は完了しています。

 しかしながら、現時点におきましては、Windows 10とともに提供を開始することを見合わせており、Windows 10に対応につきましては、個別にご相談を受付させて頂いています。詳細につきましては下記の案内をご参照ください。

弊社ソフトウェア製品のWindows 10対応について(2)

これまでのWindowsとの大きな相違点

 Microsoft Windows 10は2015年7月29日(日本時間7月30日)にWindows 7 SP1版およびWindows 8.1 Update版のユーザー向け無償アップグレードプログラムと同時にリリースされました。

 Windows 10はこれまでのWindowsとは異なり、Windows as a Serviceという新しいコンセプトの元に販売されています。これまでのWindowsでは、大きなバージョンアップがあるたびに、新しいWindowsがリリースされてきましたが、Windows 10においては、WindowsのアップデートはWindows Updateを通じて無償で行われるようになりました。つまり、Windows 10はWindowsの最後のバージョンであり、Windows 10という名前のまま、デザインが変更されたり、機能が改善されたり、新しい機能が追加されたりするなど、仕様が変わっていくことになります。

Windows 10アップデートについて

 Windows 10がリリース後、2015年11月13日(日本時間11月14日)に初めての大型アップデートがありました。このとき、プロダクトアクティベーション方法(認証方法)がリリース後に変わるなどして、多少の混乱がありました。

 2016年7月28日(日本時間7月29日)に、前述の無償アップグレードプログラムが終了し、2016年8月2日(日本時間8月3日)に2回目の大型アップデートがあり、Windows 10 Anniversary Updateの提供が始まりました。このときインターネット上で、アップデートがうまくできなかったり、Windows 10がフリーズしたりするなど、何らかの不具合が生じたというユーザーからの報告が多数ありました。Microsoftもサポートサイトで対応を行っています。

 このようなトラブルが仕事で使用しているパソコンで生じると大変です。実際、JASCOKUNが使っているWindows 10 パソコンもアップデートで動作不良となり、ちょっと困ったことになりました。しかしながら、アップデートはいつかはしなければなりませんし、放置しておくとセキュリティの問題も生じてきます。

 Microsoftは今春3回目の大型アップデートを予定しており、Windows 10 Creators Updateの提供を行う予定です。既に先行評価版(Insider Preview)がリリースされています。

 Creators Updateという名前からも判断ができるように、このアップデートでは、3D表示、バーチャルリアリティなどのゲーム機能が追加されています。また、セキュリティセンターが追加されたり、プライバシー機能が強化されるなどしています。

 ユーザーインターフェイスにも若干の変更があり、スタートメニューからコントロールパネルの項目がなくなり、メニューからはWindows 10の設定しか呼び出せなくなりました。Internet Exploreの項目がなくなり、Edgeに変更となっています。さらに、DOSプロンプトがなくなり、PowerShellに変更となっています。これらの機能はメニューから呼び出すことはできませんが「ファイル名を指定して実行」で直接コマンドを入力すると起動することはできます。通常の利用では大きな問題はないかもしれませんが、ソフトウェアを導入したり、Windowsの設定を変更する際には戸惑うかもしれません。

 さて、日本分光のChromNAV、Spectra ManagerのWindows 10 Creators UpdateのInsider Preview版での作動は確認できていますが、Windows 10 のアップデートの際に、アップデートが正常に行われなかったり、Windowsが正常に作動しないなどの問題が発生すると、仕事を止めてしまうというリスクがあります。
 
 Microsoftは2月に予定されていたセキュリティアップデートを1部のユーザーで問題が生じる可能性があるとしてリリースを延期しています。

 このようなことから、日本分光ではWindows 10 Creators Updateの提供が開始されるまで、Windows 10の提供開始を見合わせております。ただし、上述の通り、Windows 10の対応については、個別にご相談に応じさせております。Windows 10対応に関するお問い合わせにつきましては下記をご参照くださいますようお願い致します。

弊社ソフトウェア製品のWindows 10対応について(2)








2017年1月27日金曜日

Jasco Report Vol.59 No.1 発刊

Jasco Reportは、日本分光が発行している技術機関誌です。
様々な分野で活躍されている方々に書いていただいた記事を収載しています。


このたび、Jasco Report Vol.59 No.1を発刊いたしました。今回のJasco Reportには、以下の記事が収載されています。

[FTIR、Raman]
  • 顕微ラマン分光光度計で観るGaNの共鳴ラマン散乱
  • フーリエ変換赤外分光法を用いた水分解用光触媒における助触媒のポテンシャルのin-situ観察
  • 赤外・ラマン分光法を応用した地震時の断層滑り挙動の解明
[UV-Vis、FTIR]
  • 吸収および発光スペクトル分析を用いた宝石ダイヤモンドの鑑別
[HPLC、超臨界流体]
  • PITCプレカラム誘導化法を導入したHPLCによるヒト血中摂取コラーゲン加水分解物由来低分子ペプチドの検出
  • 高圧条件下の触媒的二酸化炭素変換とオペランド分光・可視化
  • EXTREMA-MSシステムの紹介
  • LC Application Notes EXTREMAによる第十七改正日本薬局方収載 バラシクロビル塩酸塩の分析(その1)
  • LC Application Notes 第十七改正日本薬局方に基づいたカンゾウ末中グリチルリチン酸の分析

Jasco Reportをお求めの場合は、日本分光のホームページより資料請求をお願いいたします。
http://www.jasco.co.jp/jpn/technique/jascoreport/index.html
ホームページでは、過去に発刊したJasco Reportの一覧を見たり、キーワードで検索することもできます。

2016年4月5日火曜日

平成28年度予算申請カタログ



平成28年度予算申請カタログを発行しました。日本分光で取り扱っている分析機器の概算価格を掲載したカタログです。科学研究費などの予算申請にお役立てください。

日本分光 平成28年度予算申請カタログ


本カタログはこちらのページの右上の資料請求ボタンをクリックするか、弊社サービスセンターまでご請求くださいますようお願い致します。

2015年11月10日火曜日

JASCOセミナーカー日本縦断 2015



 2015年11月からセミナーカーを運行しています。

最新の分析装置をマイクロバスに載せ、全国のお客様のもとへ直接訪問します。

セミナーカー

製品やアプリケーションを紹介するだけでなく、日ごろ分析でお困りのことなどのご質問にもお答えいたします。

お気軽にお申し込みください。

詳細は日本分光ホームページをご参照ください。

JASCOセミナーカー日本縦断 2015



2015年11月7日土曜日

展示会/学会 2016年度出展案内

日本分光は2016年も多くの展示会/学会に出展させて頂きます。よろしくお願い致します。

https://www.jasco.co.jp/jpn/event/event.html

2016年 展示会/学会 2016年度出展

インターフェックス大阪

インターフェックス大阪

会期
2016年2月24日(水)~2月26日(金)
会場
インテックス大阪
主催
リードエグジビションジャパン株式会社
医薬・化粧品・洗剤を製造・研究開発するためのあらゆる機器・システム・技術が一堂に出展する製薬・化粧品の専門技術展です。


Biophysical Society 60th Annual Meeting

Biophysical Society Meeting

会期
2016年2月27日(土)~3月2日(水)
会場
Los Angeles, California USA
主催
BIOCHEMICAL SOCIETY
高い評価を受けている生物物理学に関する学会です。


日本農芸化学会 附設展示会

日本農芸化学会附設展示会

会期
2016年3月28日(月)~3月30日(水)
会場
札幌産業振興センター
主催
日本農芸化学会
日本農芸化学会が開催する年次大会です。


Photonix 2016

Photonix 2016

会期
2016年4月6日(水)~4月8日(金)
会場
東京ビッグサイト
主催
リードエグジビションジャパン株式会社
「レーザー加工」「光通信」「光学部品・材料」「光計測・分析」の4つの専門展から構成される、光・レーザー関連技術の総合展です。


Molecular Chirality Asia 2016

Molecular Chirality Asia

会期
2016年4月20日(水)~4月22日(金)
会場
グランフロント大阪
主催
MCRO
キラルを主題にした関する学会です。


Analytica 2016


会期
2016年5月10日(火)~5月13日(金)
会場
Munich, Germany
主催
Messe Munchen GmbH
最新のラボテクノロジー・分析・バイオテクノロジー分野をカバーする業界屈指のリーディングメッセです。


HPLC2016

HPLC


会期
2016年6月19日(日)~6月24日(金)
会場
San Francisco, California, USA
主催
HPLCや関連技術の最新のトピックスを得るために最適な学会です。


インターフェックスジャパン

インターフェックスジャパン

会期
2016年6月29日(水)~7月1日(金)
会場
東京ビッグサイト
主催
リードエグジビションジャパン株式会社
医薬・化粧品・洗剤を製造・研究開発するためのあらゆる機器・システム・技術が一堂に出展する日本最大の専門技術展です。


The 28th International Symposium on Chiral Discrimination(CHIRALITY 2016)

ISCD-28


会期
2016年7月24日(月)~7月27日(木)
会場
Heidelberg, Germany
主催
CHIRALITY USA
キラル分野を専門とする科学者、研究者による学会です。


The XXV International Conference on Raman Spectroscopy (ICORS216)

ICORS


会期
2016年8月14日(日)~8月19日(金)
会場
Fortaleza, Brazil
主催
UFC, UFMG, USP, Ikone Eventos
ラマン分光に関する展示会です。


JASIS2016

JASIS


会期
2016年9月7日(水)~9月9日(金)
会場
幕張メッセ
主催
一般社団法人日本分析機器工業会 / 一般社団法人 日本科学機器協会
アジア最大の分析装置の展示会(旧分析展)です。


SFC 2016

SFC


会期
2016年10月5日(水)~10月7日(金)
会場
Vienna, Austria
主催
Green Chemistry Group
超臨界流体クロマトグラフィーに関する研究結果や新規アプリケーションなどが報告される学会です。


Analytica China 2016


会期
2016年10月10日(月)~10月12日(水)
会場
Shanghai, China
主催
Messe Munchen GmbH
中国で行われる最新のラボテクノロジー・分析・バイオテクノロジー分野をカバーする業界屈指のリーディングメッセです。 

2015年8月24日月曜日

JASIS2015 日本分光グループ出展案内



日本分光グループは2015/9/2~9/4(10:00~17:00)に幕張メッセ国際展示場で開催されるJASIS2015 に出展いたします。

日本分光は、環境、医薬、食品、先端材料分析など様々な分野ヘ最新のソリューションを提案いたします。

先進機能を搭載した高速液体クロマトグラフ、フーリエ変換赤外分光光度計では実機装置を使用して、様々なデモンストレーションを実施します。また、測定目的に合わせた数多くのアプリケーションも紹介致します。毎年好評のブース内小セミナーも開催いたしますので、お気軽にご参加ください。

詳細につきましては、日本分光ホームページ

JASIS2015出展案内をご覧ください。  
http://www.jasco.co.jp/jpn/event/event/jasis.html

皆様のご来場を心よりお待ち申し上げております。

2015年8月14日金曜日

日本分光ホームページ更新のご案内

お客様各位

いつも日本分光ホームページをご利用頂き、誠にありがとうございます。

このたび、当社ホームページをリニューアルいたしました。

お客様により快適にホームページをご利用して頂けるよう、情報を整理し、わかりやすいレイアウトにしました。また、パソコン、タブレット、スマートフォンなど多くの端末から閲覧できるようにいたしました。

これからも、よりいっそう充実した内容の情報発信ができるように努力してまいりますので、引き続き、日本分光ホームページをよろしくお願い致します。



2015年1月7日水曜日

多摩アナリティカルバレーセミナーのご案内


~先端計測分析機器の連携による材料研究の新展開~

お客様各位

 この度、首都大学東京と日本電子株式会社の共催(協賛:株式会社リガク・日本分光株式会社)により「多摩アナリティカルバレーセミナー ~先端計測分析機器の連携による材料研究の新展開~」を開催いたします。
 昨今の材料研究分野では、環境に優しい触媒、従来材料を凌駕する高機能な吸着・分離材料、革新的な二次電池部材など、ナノレベルで制御された高度な材料開発が必要となってきております。このようなより高度な材料開発を加速するためには、電子、光、Ⅹ線を用いた複数の計測・分析機器を総合的に活用することが必要不可欠な手法として注目されております。

 本セミナーでは産官学が連携し、それぞれの立場から材料研究への新しいアプローチをご紹介させていただくとともに、多摩川に程近い丘陵地帯に拠点を構える分析機器メーカー各社より、最新の分析技術や、先端材料開発の一助となるようソリューションを発信してまいります。併せて装置紹介やパネル展示を予定しております。

 時節柄大変ご多忙とは存じますが、何卒ご参加くださいますよう謹んでお願い申し上げます。

主催: 首都大学東京・日本電子株式会社 
協賛: 株式会社リガク・日本分光株式会   


▼開催日/会場

日程:2015 年1月23日(金) 13:00~18:15(受付12:40より)

会場:首都大学東京 南大沢キャンパス 国際交流会館 大会議室
*首都大学東京 正門より入門後、アーケードに沿ってお進みください
〒192-0397 東京都八王子市南大沢1-1

交通アクセス:京王線 京王相模原線 南大沢下車 徒歩10分
首都大学東京・交通アクセス

▼申し込み方法

参加費:無料

定員:120名 ※先着順での受付となります。お早目にお申込みください。

お申し込み方法:下記PDFをダウンロードしてご記入の上、FAXまたはE-mailでお申込み下さい。

申込書

お申込み締切り:2015年1月21日(水)


▼プログラム
12:40~13:00
受付
13:00~13:10
開会ご挨拶
首都大学東京 副学長 奥村 次徳
13:10~13:55
基調講演「我が国経済と分析機器・材料研究の行方」
経済産業省 大臣官房審議官(製造産業局担当) 高田 修三 様
13:55~14:20
「X線回折法による次世代新エネルギー材料の評価事例」
株式会社リガク 応用技術センター 屋代 恒
14:20~15:05
「リチウム空気二次電池の現状と展望」
物質・材料研究機構 ナノ材料科学環境拠点(GREEN) 運営総括室長 久保 佳実 様
15:05~15:25
コーヒーブレイク

15:25~15:50
「先端分光イメージングシステムによる材料分析への応用」
日本分光株式会社 分光分析技術部 赤尾 賢一
15:50~16:15
「種々の表面分析装置を用いたグリーンマテリアルへの応用」
日本電子株式会社 SA事業ユニット 高倉 優
16:15~17:00
「リチウム電池における材料分析手法」
首都大学東京大学院 都市環境科学研究科分子応用化学域 金村 聖志
17:00~17:05
閉会ご挨拶
日本電子株式会社 取締役兼副社長執行役員 渡邊 愼一
17:05~18:15
ミキサー


2014年11月12日水曜日

分析のひと工夫(6) 吸光度が極めて小さい試料の測定

分光光度計を用いて吸光度が極めて小さい水の色を測定する場合、光路長10mmの角セルでは、測定値が小さすぎてうまく測定ができません。そこで、光路長300mmのセルとそれを収める大型試料室を用意しました。

図1、300mmの長光路セルと大型試料室

分光光度計の測定光はレーザーではないため、光路長が長くなると光束が広がってしまいます。光束の広がりによる測定値への影響を抑えるため、検出器部に積分球を採用しました。この装置で測定した吸収スペクトルから、色度座標xyと明度Y*を算出します。

図2は、浄水、水道水、地下水、河川水の測定データです。光路長10mmのセルで測定した場合は、色度座標xy及び明度Yから色の違いを識別することができませんでしたが、300mmのセルではその違いをハッキリと識別できました。

このように、吸光度が極めて小さい水のような試料を測定するには、光路長を長くすることが有効です。


図2、10 mm(上)、300 mmセル(下)の
色度座標xyと3刺激値Y

* 色を感じるための刺激量の一つです。人間の目にはR・G・Bを認識する組織があります。光源の分光分布と試料の透過率、等色関数を掛け合わせたものの積分値X、Y、ZがそれぞれR・G・Bにあたり、これらX、Y、Zで色を表現する方式をXYZ表色系といいます。詳しくはJIS Z 8701-1999を参照してください。さらにXYZ表色系から絶対的な色合いを分かりやすく表現するため、色度座標xyと明度Yを用いたxyY表色系が考案されました。xyY表色系により全ての色は、x,yによる二次元平面および明度Yで表現できます。

2014年10月29日水曜日

分析のひと工夫(5) 蛍光性試料の透過率測定

蛍光性試料を分光光度計で測定する場合、透過光だけでなく試料からの蛍光も検出器に入射されてしまうため、正しい透過率を測定することが困難です。

図1 分光光度計による蛍光性試料の測定

通常、このような試料は分光蛍光光度計を使用することで、蛍光の影響を取り除いて透過率を測定しますが、ここでは分光光度計を用いて蛍光性試料を簡易的に測定するための工夫を紹介します。

分光光度計を用いて蛍光性試料の透過率を測定する場合、試料と検出器の距離を離すことで、指向性のない蛍光の影響を抑え、指光性のある透過光を選択的に測定することができます。

今回は実験的に、蛍光性を持つビタミンの錠剤を測定しました。また、試料と検出器の距離を離すため、300mmセル用の大型試料室を用いました。試料と検出器の距離を離しながら測定を行ったところ、距離と透過率の関係は図2のグラフに示すとおりとなりました。一定以上の距離をとることで、蛍光の影響が抑えられていることが分かります。

図2、ビタミンの錠剤の透過率(縦軸)と
試料と検出器の距離(横軸)のグラフ

このように、分光光度計でも簡易的に蛍光性試料の透過率を測定することができます。

2014年10月16日木曜日

分析のひと工夫(4) コンタクトレンズの測定

今回はコンタクトレンズの測定を紹介いたします。消費者が使用するのに近い状態でコンタクトレンズの品質を評価するため、保存液に浸した状態で透過スペクトルを測定することがあります。その際、図1のように、石英板に試料を挟んで測定します。

図1 石英板に挟んで測定

しかし、この方法では、
・ハードコンタクトレンズは測定できない(割れないように挟むのが難しい)
・気泡が入りやすい
・中心部に光を当てにくい
・作業環境が濡れる
という問題点があります。

そこで、図2のように、水平置き積分球の上に置いた試料ホルダにコンタクトレンズをセットしました。試料ホルダに保存液を浸して測定を行ったところ、透過スペクトル(図3)を得ることができました。

図2 水平置き積分球を用いて測定

このように、水平置き積分球を用いることで、保存液に浸した状態でのコンタクトレンズの透過スペクトルを容易に測定することができます。

図3 保存液に浸したコンタクトレンズの透過スペクトル

2014年10月1日水曜日

分析のひと工夫(3) ダイヤモンドの測定

人工的に放射線処理したダイヤモンドは、その痕跡として740nm付近に微弱な吸収ピークが観測されます。このピークの有無で、放射線処理したダイヤモンドを判定します。

ダイヤモンドなどの宝石は試料がセットしにくいうえ、ブリリアントカットされているため、ほとんどの光を反射します。分光光度計で測定するには、反射を抑えるため、ガードル方向に光を透過させ、測定する必要があります。(凄いテクニックですね!)

図、ブリリアントカットの切子面の各名称

このような測定には、水平置き積分球が有効です。水平置き積分球を利用することで、簡単にダイヤモンドのガードル方向に光を透過させ、測定することができます。その結果、人工的に放射線処理したダイヤモンドは740nmに吸収ピークを持ち、天然のダイヤモンドはピークがないことが確認できました。

図、水平置き積分球によるダイヤモンドの測定

本測定により、人工的に放射線処理したダイヤモンドを判定することができます。

2014年9月17日水曜日

分析のひと工夫(2) 製造ライン上のフィルムの膜厚測定

一般に静止したフィルムの膜厚は、その反射率スペクトルにみられる干渉波形から計算することができます。しかし、高速で移動する試料、例えば製造ライン上のフィルムの膜厚を測定する場合、測定中に測定箇所が移動してしまい、どこの膜厚を測定しているかが分からなくなってしまいます。また、測定する場所によって膜厚にバラつきがあると干渉波形が得られず、膜厚を計算することができません。

図、製造ライン上のフィルムの測定

そのような場合、一回の点灯時間が3 μsecという非常に短いXeフラッシュランプとマルチチャンネル検出器を搭載した分光光度計を用いることで、極めて短い移動距離の間に測定を行うことが可能です(上図)。データ処理の時間も加味すると0.5 秒ごとに測定することができます。このような工夫を凝らすことで、製造ライン上で移動するフィルムであっても、その膜厚をモニターすることができます。

■参考
下図、フィルム上で反射する光(A)とフィルム透過後に反射した光(B)が干渉します。それらの干渉波形より、膜厚を計算できます。

図2、膜厚測定の概要

2014年9月4日木曜日

分析のひと工夫(1)インクの分析

インク等に含まれる顔料は希釈を行うと、その溶媒や希釈率によって、吸収スペクトルの形が変化してしまうことがあります。そこで、インクを原液のまま分光光度計で測定する方法を検討しました。

インクの原液を通常の光路長10mmの角型セルで測定すると、測定できる吸光度の限界を超えてしまうため、吸収スペクトルを得ることができません。そこで、図に示すような光路長0.1mmの段差セルを用いて測定を行いました。

このように光路長を1/100まで短くすることで、インクのような濃い液体を希釈することなく原液のまま測定することができます。

また、このセルを使用することで試料の量は数μL程度と非常に少量で測定することができます。

図 インク原液の測定

2014年6月18日水曜日

時短、省溶媒分析のすゝめ(4)簡単、IR測定(ClearDiskChanger)

FTIRの測定において、KBr錠剤法で試料調整するのって中々手間ですよね。
今回は、そんな手間を減らす便利なツールをご紹介します。

ClearDiskは、ディスポーサブルの成型用円板です。試料を載せたKBrプレート、これを成型器にセットしてハンドプレスでプレスするだけで、測定用のDiskが出来上がります。

ClearDiskを用いた試料調整

円板には、試料の情報や測定日を書き残すことも可能です。錠剤法だと、直接情報を書き残すことは難しいですよね。また、ディスポーサブルなので、そのまま廃棄することも可能です。

図 ClearDisk、文字が書ける

さらに、この試料を連続して測定できるものが、ClearDiskChangerです。これは、8つのClearDiskを同時にセットできるもので、回転させるだけで次の測定ができます。更なる時間短縮が可能になります。


ClearDiskChanger
8つの丸い部分にセット

2014年5月29日木曜日

時短、省溶媒分析のすゝめ(6)簡単、IR測定(KBrプレート法Ⅱ)

前回は粉末試料の測定でKBrプレートを利用した測定方法を紹介しました。今回は液体試料の測定でKBrプレートを利用した測定方法を紹介します。

通常、グリスなどの粘性の高い試料は、窓板に塗り、組立セルにホールドして測定します。また、粘性の低い垂れやすい試料の場合は、窓板に挟み、組立セルにホールドして測定します。しかし、これらの方法で測定を行うと、窓板で試料が固まると洗浄が大変であったり、窓板自体が比較的大きく、貴重な試料を多く使用してしまうということがあります。

図 KBrプレート(3×3×0.5mm)窓板として測定

そこでKBrプレート法の登場です。試料のセッティング自体は従来法と同じですが、KBrプレートがディスポーサブルなため、測定毎に窓板を洗浄する必要がありません(時短、省溶媒)。さらに、本方法では、また、試料のサイズはφ3(通常はφ10)で測定できるため、1μL程度の試料があれば測定が可能となります。

KBrプレート法と従来法の測定例を図に示します。従来の測定と同様のスペクトルが得られていることが分かります。本方法を用いれば、試料のセッティングの時間を短縮でき、省サンプル、省溶媒で測定できます。

図 クッキングオイルの測定

参考資料
ジャスコエンジニアリング 組立セル(MagHoldIR)
日本分光 FTIRの基礎(5) 簡単、便利!FTIR測定のコツ



2014年5月19日月曜日

時短、省溶媒分析のすゝめ(5)簡単、IR測定(KBrプレート法)

今回は以前ご紹介したClearDiskを用いたFTIRの測定を、もう少し具体的に手法をご紹介します。3mm角のKBrの板にサンプル粉末を挟むだけでFTIRが測定できる方法です。圧倒的に時間を短縮できます。しかも、簡単ですよね。具体的には以下のような操作になります。

①成形器にClearDisk(ジャスコエンジニアリング製ディスポーサブルDisk)をセットし、KBrプレートを一枚載せ、その上にサンプルを載せます。

②もう一枚のKBrプレートを載せ、その上から押さえプレート(成形器上部)を2、3回転させます。

③押さえプレートを外し、サンプル粉末が広がっていることを確認、上下のKBr板を揃え直してからミニプレスでハンドプレスします。

図 ClearDiskを用いたKBrプレート法

本方法により手軽かつ迅速に多検体をまとめてサンプリングすることができます。更に、KBrからの吸湿を抑制することや、測定サンプルを保存できるというメリットもあります。より具体的なお話は以下のリンクをご参照ください。

【参照】
KBrプレート法・KBr錠剤法の新しい形2014
今こそ聞きたい!KBr錠剤法・プレート法のコツ2017