2014年10月29日水曜日

分析のひと工夫(5) 蛍光性試料の透過率測定

蛍光性試料を分光光度計で測定する場合、透過光だけでなく試料からの蛍光も検出器に入射されてしまうため、正しい透過率を測定することが困難です。

図1 分光光度計による蛍光性試料の測定

通常、このような試料は分光蛍光光度計を使用することで、蛍光の影響を取り除いて透過率を測定しますが、ここでは分光光度計を用いて蛍光性試料を簡易的に測定するための工夫を紹介します。

分光光度計を用いて蛍光性試料の透過率を測定する場合、試料と検出器の距離を離すことで、指向性のない蛍光の影響を抑え、指光性のある透過光を選択的に測定することができます。

今回は実験的に、蛍光性を持つビタミンの錠剤を測定しました。また、試料と検出器の距離を離すため、300mmセル用の大型試料室を用いました。試料と検出器の距離を離しながら測定を行ったところ、距離と透過率の関係は図2のグラフに示すとおりとなりました。一定以上の距離をとることで、蛍光の影響が抑えられていることが分かります。

図2、ビタミンの錠剤の透過率(縦軸)と
試料と検出器の距離(横軸)のグラフ

このように、分光光度計でも簡易的に蛍光性試料の透過率を測定することができます。

2014年10月16日木曜日

分析のひと工夫(4) コンタクトレンズの測定

今回はコンタクトレンズの測定を紹介いたします。消費者が使用するのに近い状態でコンタクトレンズの品質を評価するため、保存液に浸した状態で透過スペクトルを測定することがあります。その際、図1のように、石英板に試料を挟んで測定します。

図1 石英板に挟んで測定

しかし、この方法では、
・ハードコンタクトレンズは測定できない(割れないように挟むのが難しい)
・気泡が入りやすい
・中心部に光を当てにくい
・作業環境が濡れる
という問題点があります。

そこで、図2のように、水平置き積分球の上に置いた試料ホルダにコンタクトレンズをセットしました。試料ホルダに保存液を浸して測定を行ったところ、透過スペクトル(図3)を得ることができました。

図2 水平置き積分球を用いて測定

このように、水平置き積分球を用いることで、保存液に浸した状態でのコンタクトレンズの透過スペクトルを容易に測定することができます。

図3 保存液に浸したコンタクトレンズの透過スペクトル

2014年10月1日水曜日

分析のひと工夫(3) ダイヤモンドの測定

人工的に放射線処理したダイヤモンドは、その痕跡として740nm付近に微弱な吸収ピークが観測されます。このピークの有無で、放射線処理したダイヤモンドを判定します。

ダイヤモンドなどの宝石は試料がセットしにくいうえ、ブリリアントカットされているため、ほとんどの光を反射します。分光光度計で測定するには、反射を抑えるため、ガードル方向に光を透過させ、測定する必要があります。(凄いテクニックですね!)

図、ブリリアントカットの切子面の各名称

このような測定には、水平置き積分球が有効です。水平置き積分球を利用することで、簡単にダイヤモンドのガードル方向に光を透過させ、測定することができます。その結果、人工的に放射線処理したダイヤモンドは740nmに吸収ピークを持ち、天然のダイヤモンドはピークがないことが確認できました。

図、水平置き積分球によるダイヤモンドの測定

本測定により、人工的に放射線処理したダイヤモンドを判定することができます。

2014年9月17日水曜日

分析のひと工夫(2) 製造ライン上のフィルムの膜厚測定

一般に静止したフィルムの膜厚は、その反射率スペクトルにみられる干渉波形から計算することができます。しかし、高速で移動する試料、例えば製造ライン上のフィルムの膜厚を測定する場合、測定中に測定箇所が移動してしまい、どこの膜厚を測定しているかが分からなくなってしまいます。また、測定する場所によって膜厚にバラつきがあると干渉波形が得られず、膜厚を計算することができません。

図、製造ライン上のフィルムの測定

そのような場合、一回の点灯時間が3 μsecという非常に短いXeフラッシュランプとマルチチャンネル検出器を搭載した分光光度計を用いることで、極めて短い移動距離の間に測定を行うことが可能です(上図)。データ処理の時間も加味すると0.5 秒ごとに測定することができます。このような工夫を凝らすことで、製造ライン上で移動するフィルムであっても、その膜厚をモニターすることができます。

■参考
下図、フィルム上で反射する光(A)とフィルム透過後に反射した光(B)が干渉します。それらの干渉波形より、膜厚を計算できます。

図2、膜厚測定の概要

2014年9月4日木曜日

分析のひと工夫(1)インクの分析

インク等に含まれる顔料は希釈を行うと、その溶媒や希釈率によって、吸収スペクトルの形が変化してしまうことがあります。そこで、インクを原液のまま分光光度計で測定する方法を検討しました。

インクの原液を通常の光路長10mmの角型セルで測定すると、測定できる吸光度の限界を超えてしまうため、吸収スペクトルを得ることができません。そこで、図に示すような光路長0.1mmの段差セルを用いて測定を行いました。

このように光路長を1/100まで短くすることで、インクのような濃い液体を希釈することなく原液のまま測定することができます。

また、このセルを使用することで試料の量は数μL程度と非常に少量で測定することができます。

図 インク原液の測定