2013年11月27日水曜日

続・HPLC分析のコツ(5) 移動相溶媒中の添加剤

移動相として使用する有機溶媒には、化学的に不安定な溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン)があり、安定剤が入っている場合があります。このような溶媒は、含まれる添加剤により分離や検出に影響を与えることがあり、使用方法に注意が必要です。

右図は、テトラヒドロフラン(THF)のUVスペクトルです。THFには、安定剤(酸化防止剤)として、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)が添加されているものがあります。そのため、添加剤を含有しているTHFは、280nm付近にUV吸収があり、UV検出器を使用したときの検出波長に注意が必要です。
また、添加剤の充填剤への吸着などの問題から、逆相や順相クロマトグラフィーでは安定剤が入っていないTHFを利用してください。安定剤なしのTHFは、容器の蓋を開けると時間とともに酸化し、UV吸収が増加するので注意が必要です。

未開封の場合、THFはおおよそ2年間は保存することが可能ですが、開封後は劣化するので、窒素ガスを封入し、暗所で保管することが必要になります。(試薬メーカによって、推奨される保管方法が異なりますので、確認が必要です)
安定剤なしのTHFは、開封後は速やかに使用し、使い切ってしまうことが理想的です。