2012年3月1日木曜日

HPLC分析のコツ(4) ODSカラムの長期保存-結果報告

前回、「缶詰対干物」と言う力ラムの保存方法について書いたことを覚えていますか?
これに対して「あかん! データがないならちゃんと測定しなさい。」との命令が下りました。今回は、その報告と干物保存法の落とし穴についてです。

実際に試験をしてみました。力ラムは、一般的なODSカラム(TMS処理してあるモノメリックタイプの充填剤)を2本を使い、1本は密栓して保存、もう1本は栓をしないで保存して、約7ケ月毎に理論段数を測定しました。

缶詰力ラムは、始めた時の段数120007ヶ月後に11000に、14ヶ月後には9000まで落ちました。これに対し干物力ラムは、始めた時の130007ヶ月後で1260014ヶ月後でも12000とほぼ開始時の性能を維持していました。

ODSカラムの保存法は、干物法に軍配が上がりました。とりあえず私も約束を果たせたし、記事の正しさも証明できて本当に良かったと思ってます。

ただし、今回の実験は一つの事例です。充填剤の種類や特性、カラム内に入っている溶媒によって結果は異なります。特に、ポリマー系充填剤、GPCGFCやイオン交換カラムは、干物にするとカラムがダメになってしまうので注意してください。絶対適用しないで下さいね。

カラムの保存方法は取扱説明書に記載されていますので、記載された方法で行ってください。

さて、もうひとつお話を付け加えておきます。逆相系カラム(ODSなど)を水や緩衝液がほぼ100%の移動相で使用することがあります。このような溶媒で使用した場合、測定終了後の翌日など分析種のピークの保持が極端に短くなり、早く溶出してしまいカラムが劣化してしまったと判断することがあります。
しかし、この現象は逆相系カラムの疎水性と移動相溶媒の濡れの関係によって生じるという説が発表されています。簡単に言うと充填剤の細孔から、移動相が抜け出してしまい、その部分が分離の相互作用に係わらないことになり、保持が弱くなって、早く溶出してしまうデータとなってしまうということです。
このような場合は、一度、有機溶媒が7080%程度含まれる移動相を流すことにより、保持が回復することがあります。最近では、このような症状が発生しない、水系溶媒100%でも使用できるカラムが販売されています。

だんだん便利な世の中になってきましたね。同じ逆相系カラムのODSと言っても、様々な特徴があります。カラムの特性を良く知っておくことが、安定して測定できる良い分析条件を作ることができることにつながるんですね。

2012年2月17日金曜日

HPLC分析のコツ(3) ODSカラムの長期保存


▼干物か缶詰か
ある日の午後、私とLC応用開発の某氏と、
今回のテーマである「ODSカラムの長期保存方法」について話をしていました。
(以下、私:私、LC応用開発某氏:某、営業イチョカミ:イ の略)









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私:やっぱ干物やで。

某:そうかなぁ、缶詰だと思うけど。


と話をしているところへ、営業のイッチョカミ氏が、2人の話に入ってきました。

イ:そりゃ冷凍に決まっとるがや。え~か、こういうの僕詳しいの。
と言うなり、彼は冷凍食品の便利さを説明しはじめました。電子レンジでチンするだけだとか、
最近はフライもオーブントースターで簡単に作れるとか。
こののメーカーの何がおいしくて、何がおいしくないかとか。

私:あのなイっちゃん、ぼくら何話していたか知っている?

イ:知らん。

私:あのね、今、ODSカラムの保存方法について話をしてたの。

イ:ふ~ん。そうか、じゃまして悪かったなぁ。

と言って、彼はさっさと帰ってしまいました。

某:でも、イさん、冷凍食品のこと本当に詳しいね。

私:うん、何や、イさんの奥さん、しょっちゅう実家に帰るから自然と覚えてしまったらしいんやて。

某:ふ~ん。独身でよかった。 私:ほんでな、ODSの保存方法やけど、やっぱ、
アセトニトリルで洗ったあとは、メイルプラグもしないでほっといて、
中を乾かした方がええと思うんや。ODSもはがれんし。

某:そりゃ、ODSがはがれないということなら、干物の方がいいと思うけど、
カラムに「す」がはいったりしない?
やっぱ溶媒が乾かないようにキチッと栓をした缶詰法がいいと思うよ。

私:お前、若いくせに頭古いな。わし、何本もこうやって干物にしているけど、問題ないぞ。

某:そうかなぁ、でもどこのカラムの取説にもそんな事書いてないよ。うちのにも書いてないじゃない。

私:そうや。そやからどないした言うねん。

某:だからさ、本当に干物でいいの。そんな事、こんな公式のみんなが見ている文章に書いていいの?

私:...そ、そこや問題は。経験的には、干物の方がええんやけどな、データはないし。
そんな実験やるのも面倒だし、時間も ないし。う~ん。

某:ほらほら、自信ないんじゃない。

私:こいつぅ、腹立つやっちゃな。自信はあるわな。ただデータがないゆうとるだけなんや。データがな。

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天の声
「こらぁ、いいかげんな話をしているんじゃない。これを読んだ人が干物法で、
カラムを壊したらどうするんだ。データをちゃんと  出しなさい。苦情が来たら、給料から天引きするぞ。」

私:でも時間かかるしぃ。1年以上、検証してみないと...

天の声
「時間をあげましょう。1年なり2年なり、好きなだけ検証して、
ちゃんとしたデータを出しなさい。ここで、こんな話を持ち出 したんですから、
最後までやってもらいます。」

私:げっ、とんだやぶ蛇になってしまった。

というわけで、この結果は次項で紹介します。

JASCOサイト内検索をご利用ください

弊社のホームページに掲載されている情報を探したいとき、下図のJASCOサイト内検索のページ「日本分光ホームページ検索」でキーワードを入力し、検索していただくと便利です。


この検索ページは、http://www.jasco.co.jp/jpn/search.htmlをクリックして頂くか、日本分光トップページの上部にある「サイト内検索」をクリックして頂くと、表示することができます。



今後もお客様のご意見やご要望を参考に、ホームページの更新を重ね、コンテンツの充実を図り、適時に情報を発信するようしてまいりますので、 引き続きご愛顧の程宜しくお願い申し上げます。

2012年2月6日月曜日

HPLC分析のコツ(2) カラムは「なまもの」?

▼はじめに
生物ですのでお早めにお召し上がりください。という土産ものについている注意書きを読んで「げげっ、この中に何か生き物がはいってとんのか、そりゃ早よ食べないかんわな。こんなもん、長いことおいといたら、エサもやらないかんし、逃げ出しでもしたらたいへんやし。でも、ちょっと待てや。こんな中に生き物なんてはいっているはずないで。あっ、そうか、これ、なまものって読むんか」なんて経験はありませんか。私はわかっていても度々こういう勘違いをしてしまいます。これは、生物を「せいぶつ」と読んでしまい、せいぶつ=生き物と考えてしまうことによるものではないかと思います。この生物をせいぶつと読んでしまうのは、受験勉強の「生物」で苦労したその後遺症ではないかと考えるのであります(生物の先生ごめんなさい)。




▼カラムの消費期限
「購入したカラムは早めにお使いください。」

というお話が今回の題材です。最もよく利用されているODS カラムを例にとって説明します。カラムの多くは、カラム検査に用いた移動相(アセトニトリル:水など)で満たされた状態で出荷されます。これは、カラムにとって理想的な保存状態であるとは言えません。長い目でみるとカラムによっては、徐々にシリカゲルと結合しているODS基が、はがれていくものもあります。従って、購入直後のカラムと長期保存(半年から1年以上)してあったカラムでは、充填剤の状態が違ってくることがあります。当然、保持時間や分離挙動も変わってきます。従って、購入したカラムの性能を十分利用して頂くためには、早めに使用していただくのが一番よいのです。

それじゃあ、「使い終わったカラムの保存方法は?」と疑問を持たれた方もいるかと思います。次回はそのあたりをお話したいと思 います。

2012年1月23日月曜日

HPLC分析のコツ(1) ODSカラムの洗浄方法

▼はじめに

酢は体にいい。昭和26年生まれの母は、夏になると毎日、酢の物を作ってくれました。「夏バテには酢がいいんだよ、あんた」と言いながら私の気持ちもしらないでセッセと作ってくれました。おかげで結婚した今も、酢の物を見ると母を思い出してしまうのです。これはきっとパブロフの犬と同じ条件反射 conditioned reflex というのではないかと思います。
今回から始まったこのコラム、何も「宴会で飲みすぎた体に酢がいいですよ」という話をしようというわけではありません。ここでは HPLCを使う上で、

知っておいても損はしないノウハウのようなものを、

毎回取り上げていこうと思っております。少しでも役に立てれば幸いです。


▼カラムの洗浄
さて、HPLC分析のコツその第1回は、シリカ系ODSの洗浄方法についてです。特にナトリウム、カリウム等を含んだ緩衝液を移動相として使ったODSカラムを洗浄するとき、直接アセトニトリルやメタノール等の


有機溶媒を流すと塩が析出して流路やカラムが詰まることがあります。


かといって、


水を流すと、カラム内のpHが酸性や塩基性に変化することがあり、

カラムの性能を低下させることがあります。


こんなときは、移動相溶媒の塩を除いた移動相溶媒(有機溶媒と水の混合比は同じまま)に1%程度の酢酸を加えた溶媒でカラムを十分に洗ってください。と言うわけで、体にいい酢の話ではなくて、「ODSカラムの洗浄方法」でした。
そういえば、ODSカラムと一言でいいましたが、その耐久性や耐溶媒性などの特性は、カラムの種類や使用する溶媒の内容によって異なりますので、注意してください。
必ずご使用中のODSカラムの取扱説明書を確認してくださいね!