2012年7月18日水曜日

HPLC分析のコツ(13) UV/VIS検出器のお話-その1

今回は検出器の話をします。まずは一番ポピュラーな検出器、紫外可視分光検出器(日本語で書くと何のことか分からなくなりそうですが、UV/VIS検出器です)から始めます。

検出器で大切なのは、選択性と感度です。UV検出器の場合、選択性を決めるのは検出波長です。本題にはいる前に横道にそれて、弊社セミナーで妙に感心される話題から始めます。

クロマトグラムの検出波長に、254nmや280nmが多い理由を知っていますか。いまでこそ波長可変の検出器は当たり前ですが、昔は、低圧水銀ランプを光源にした検出器がほとんどでした。この装置は水銀の輝線(254nm)を利用していたので検出波長を選ぶことは出来ません。したがって検出波長も254に決まっていたのです。この波長に
極大吸収があるとか、選択性がよいと言うことでは決してありません。核酸とか芳香族化合物の検出に適していたのでよく使われました。

波長可変型のUV検出器の光学系(上図)
「280nmは何の輝線かな?」なんて辞書を引いてる人もいるかも知れませんね。鉛、マンガン、ビスマス辺りが候補に上がってると思いますがハズレです。水銀の輝線(254nm)を白い粉(何か分かりません、もしご存じの方があったら教えてください)に当てると280nmの蛍光がでます。この波長が(強い吸収を持つため)、蛋白質の検出に使われてきたため、254、280nmの2波長を選択できる検出器がありました。  この他にも214nm(Znランプ)、229nm(Cdランプ)や水銀ランプとフィルターを組み合わせた436、456nm等が使われています。いかにも意味有りげな検出波長は、こんな風にランプの輝線で決まっていたのです。

本題では
「文献や過去のデータに惑わされないで、目的成分に適した波長を判定しましょう」
と言いたいのです。

とは言ってもただ単に感度を上げるために極大吸収波長にすればいいという事でもありません。選択性を上げるために感度を犠牲にして長波長側にずらしたり、逆に選択性に目をつむって感度を稼ぐために短い波長に設定したりと言うケースもあります。目的に合わせて検出波長を設定しましょう。
 一般に、波長を短くすると感度は良くなりますが、選択性は無くなり妨害ピークの影響を受け易くなります。逆に、波長を長くすると選択性は向上しますが、感度が悪くなります。ただ妨害ピーク等の選択性の点については、検出器だけではなく、前処理や分析条件を含めた分析全体で考える必要があります。