今回は、有機溶媒について触れたあと、移動相の話を総まとめします。
はじめは、Hexaneについて。順相クロマトグラフィーでよく使われる溶媒で、通常は移動相としてn-ヘキサンと表記されます。 市販のヘキサンは、n-ヘキサンを95%以上含むヘキサン異性体の混合物です。 同じような性質の混合物なので、気にする必要はないのですが、正確にはヘキサン類、hexanesと書くようにしたいものです。
つぎに、クロロホルムです。HPLC用のクロロホルムには2種類あるのをご存知ですか? 安定剤が違います。0.5~1%のエタノールを含むもの、アミレンで安定化されたものです。 サンプルによってはアルコールがあると不安定なものもあります。知っておくと何かのときに役に立つかもしれませんね。
つぎは、テトラヒドロフランです。この溶媒は、主に2つのケースで使われます。 有機溶媒系のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)移動相として、もうひとつは逆相クロマトグラフィーにおけるオーガニックモディファイヤーとしてです。 SECでRI検出器を使う場合は、安定剤の入ったものを使います。分取、もしくはUV検出器を使うSECや、逆相クロマトグラフィーでは、 安定剤の入っていないものを使います。
これまでの移動相の話をまとめます。
1.混合溶媒の組成は正しく表示しましょう。
パーセント表示と比率での表し方、どちらが悪いということではなくて作り方に対応した表記をしましょう。
2. W/Wで作るのか、V/Vで作るのか。
混合溶媒を再現性よく作るには、比率に見合った精度のでる計量法を使うようにしましょう。
3.unambiguousかつuniqueな移動相条件の記載を。
あいまいな表現や、作り方が何通りもあるような移動相条件の書き方はやめましょう。
4.pHメーターを使わないで緩衝液を作りましょう。
省力化と再現性の向上に効果があります。 V/Vの組成を決めるまではちょっと面倒ですが、決まってしまえば再現性も良くなるし、かなり省力化できます。大量に作ることも可能になります。
6回にわたって、長々と書いてきた移動相の話はとりあえず終わりです。