UV検出器には、光源ランプの明るさと、フローセルを透過した後の光の強さを見る機能があります。じゃ、ちょっと説明します。上の段はフローセルを通過した後の光の強さを、下の段は光源ランプ の明るさをそれぞれ示しています。どちらも、電圧が高いほど明るい(光が強い)事を示しています。 光が強いほうが検出器の調子はいいです。ランプが劣化するにつれてREF電圧、SAM電圧共に下がります。検出波長を変えても、REF、SAM電圧 ともに変化します。でも、移動相に吸収のない波長範囲では、REF電圧とSAM電圧の比はほぼ一定です。理由 は後で説明しますが、ここでは、
「REF電圧は絶対値何Vが大切で、SAM電圧は絶対値よりREF電圧との比が大切」
だと覚えてください。
REF電圧とSAM電圧 |
では、利用の仕方を説明します。REF電圧は、ランプの状態(フローセル通過前の光の強さ)を表します。 同じ波長で使っている場合、この電圧を定期的に記録しておけばランプの劣化具合が分かります。 「REF電圧が0.5Vになったからそろそろランプを変えなきゃいけないな」なんて事も判断できるかも知れませんね。
次はREF電圧とSAM電圧の比の使い方です(SAM電圧自体はフローセル通過後の光の強さを表します)。これを利用してフローセルや移動相の状態を判断します。 一つは、フローセルのセル窓の汚れです。もう一つは、移動相の吸収です。SAM電圧はランプの劣化つまりREF電圧が変わるとそれに伴って動きます。 それで、絶対値ではなくREF電圧との比で見るわけです。同じ波長、同じ移動相条件で分析しているときに、REF電圧とSAM電圧の比が小さくなってきたら、 もしくはREF電圧は変わってないのにSAM電圧が下がってきたら、フローセル窓の洗浄が必要です。 突然、SAM電圧だけが下がったら、特に移動相を作り替えた時そうなったら、移動相の汚れ、もしく は移動相組成を間違えた可能性があります。
こんな風に、電圧のチェックはとても便利な機能です。私はUV検出器を使っているとき、1日に1回はこの値をチェックします。なにか検出器関係のトラブルが起きたときも一番先にこの数字を見て原因を探します。皆さんも、毎日分析を始める前にこの値を見るのを習慣にしてはいかがですか。検出器をいつもベストな状態に維持するために。
■参考
UV-4570紫外可視吸光度検出器(動画)
HPLCの基礎(4)各種検出器の特徴
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