2013年10月30日水曜日

続・HPLC分析のコツ(3) ゴーストピーク対策(フタからの混入)

オートサンプラーのサンプルビンは、様々な形状、容量、フタ(シール)を有しています。特にシールの材質、プレカットの有無は、試料溶媒を考慮して適切なものを使用する必要があります。適切ではないものを使用した場合、ゴーストピークの原因になりことがあります。

図 サンプルビンのシールの添加剤が混入

例えば、試料溶解溶媒にn-ヘキサンや酢酸エチルなどの有機溶媒を使用し、一つのサンプルビンから複数回、注入、測定を行うときは注意が必要です。

シリコン樹脂などが使用されているフタを使用した場合、これらの溶媒では、一回目の測定後にニードルの外壁に付着した溶媒がシールのシリコン樹脂に付着、溶解し、2回目の測定時に試料溶液に溶け込み、ゴーストピークとなることがあります。

このような場合、テフロン系樹脂のフタを使用することで、ゴーストピークの出現を防ぐことができます。

2013年10月29日火曜日

ちょっとひと工夫<脂質⑥> /社員食堂の栄養士さんから(67)

引き続き中性脂肪を下げる工夫をご紹介します。

アルコールはほどほどに

 アルコールは肝臓での中性脂肪合成を増加させます。またアルコールそのもののエネルギーも意外と高いです。ビール350 mlで147 kcal、日本酒100 mlで105 kcal、ウイスキー100 mlで248 kcal、赤ワイン100 mlで70 kcalです。

夕食は控えめに

 夕食後はどうしてもエネルギーの消費量が低下しがちです。 睡眠中に余ったエネルギーが中性脂肪になりやすいので、気をつけましょう。

2013年10月18日金曜日

ちょっとひと工夫<脂質⑤> /社員食堂の栄養士さんから(66)

 今回は中性脂肪を取り上げます。

 中性脂肪とは、肝臓で作られる貯蔵用のエネルギーのことで、人間の身体の皮下脂肪のほとんどを占めます。

 皮下脂肪は、摂取エネルギーの不足や運動による消費エネルギーが増加すると使われ、体温を保つ効果がありますが、過剰に蓄積されると肥満の原因となり様々な疾病を引き起こす要因となります。

 中性脂肪の基準値は、空腹時で50~149 mg/dlの範囲とされています。それを大きく上回る場合には食事や運動など普段の習慣を見直すようにしましょう。

 詳細は次回にご紹介します。

2013年10月15日火曜日

続・HPLC分析のコツ(2) 空気トラップ

ゴーストピークが出現する前回の話題の続きです。前回は、溶離液に使用している水や試薬中の成分がゴーストピークの原因だった場合の対処法でした。今回は、HPLCシステムを設置している実験室内の空気中に含まれる成分が原因だった場合の対処法についてお話します。

実験室内では、アンモニアやアルデヒド類など揮発性物質を取り扱うことがあります。このような成分が移動相(溶離液)に溶け込み、これが原因でゴーストピークの発生やベースラインの変動等のトラブルを発生することがあります。
図 空気トラップ

このような場合、図のように溶離液の瓶に流入する実験室の空気をトラップ溶媒に一度通過させることで、揮発性物質を取り除くことができます。図のようにすることで、溶離液が減った際に入り込む空気は、トラップ後の空気になるため、溶離液に揮発性物質が溶け込むのを防ぎます。このような対処で、ゴーストピークを消失できる場合があります。

なお、トラップ溶媒は成分の性質によっても異なりますが、移動相溶媒と同じ溶媒を入れておくのも一つの方法です。トラップ容器側の溶媒に入れているチューブの先に焼結タイプのフィルタを付けておくことにより、空気中の成分除去に高い効果が得られます。

2013年10月10日木曜日

ちょっとひと工夫<脂質④> /社員食堂の栄養士さんから(65)

 今回はHDLコレステロールについて取り上げたいと思います。

 HDLコレステロールは善玉とも呼ばれますが、余分なコレステロールや血管壁に付着したコレステロールを回収して肝臓に戻す働きがあります。

 HDLコレステロールが少ないと血管に付着したものが回収できずに溜まってしまうので、結果的に動脈硬化のリスクが高くなり、40 mg/dl以下(空腹時)だと脂質異常症とされます。

 トータルのコレステロール値ではなく、HDLとLDLのバランスが大切です。仮に総コレステロールの値が多少高くてもHDLが高く、LDLが低ければ問題ないとされています。

2013年10月4日金曜日

ちょっとひと工夫<脂質③> /社員食堂の栄養士さんから(64)

 コレステロールにはLDLとHDLの2種類があります。

 まずLDLコレステロールから説明しましょう。LDLコレステロールは悪玉とも呼ばれますが、肝臓から全身へコレステロールを運ぶ重要な働きをしています。

 LDLが過剰になると血管に付着して動脈硬化を引き起こす大きな要因となります。基準値は70~139mg/glとされ、140mg/dl以上(空腹時)だと脂質異常症とされています。

 動脈硬化は狭心症や心筋梗塞をなどのリスクを高めるものの、自覚症状がありません。健康診断の結果を確認して、もし高い値だったら注意するようにしましょう。

 次回はHDLについて説明します。

2013年10月1日火曜日

続・HPLC分析のコツ(1) ゴーストピーク対策 -クリーンアップカラムの利用-

グラジエント溶出法を使用したHPLC測定では、以下のような理由でゴーストピークが出現し、目的成分の検出を妨害することがあります。このような妨害成分を除去することで、より精度の高い測定結果を得られることがあります。

・劣化した水の使用
・緩衝液として使用した試薬に含まれる微量の不純物
・ポリ瓶から溶出された可塑剤
・周囲の空気中成分の移動相への溶解

クリーンアップカラムは、高圧混合グラジエント溶出法において、溶出力の弱い移動相溶媒を送液しているポンプの出口側に接続することで、溶媒中のゴーストピークの原因となる成分を吸着し、ピークを低減させることが期待できます。

図 水の送液ポンプ出口にクリーンナップカラム、接続前(上)と接続後(下)のデータ

左図は、クリーンアップカラムを使用する前のクロマトグラムです。大きなゴーストピークが観測されています。一方、水の送液ポンプの出口にクリーンアップカラムを接続して測定したデータが、右図になります。ゴーストピークが消滅していることが良くわかります。

■詳しくは
日本分光HP-Clean up Column