ゴーストピークが出現する前回の話題の続きです。前回は、溶離液に使用している水や試薬中の成分がゴーストピークの原因だった場合の対処法でした。今回は、HPLCシステムを設置している実験室内の空気中に含まれる成分が原因だった場合の対処法についてお話します。
実験室内では、アンモニアやアルデヒド類など揮発性物質を取り扱うことがあります。このような成分が移動相(溶離液)に溶け込み、これが原因でゴーストピークの発生やベースラインの変動等のトラブルを発生することがあります。
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図 空気トラップ |
このような場合、図のように溶離液の瓶に流入する実験室の空気をトラップ溶媒に一度通過させることで、揮発性物質を取り除くことができます。図のようにすることで、溶離液が減った際に入り込む空気は、トラップ後の空気になるため、溶離液に揮発性物質が溶け込むのを防ぎます。このような対処で、ゴーストピークを消失できる場合があります。
なお、トラップ溶媒は成分の性質によっても異なりますが、移動相溶媒と同じ溶媒を入れておくのも一つの方法です。トラップ容器側の溶媒に入れているチューブの先に焼結タイプのフィルタを付けておくことにより、空気中の成分除去に高い効果が得られます。